現地講習では、AZCARE公認インストラクターが、各エクササイズの指導法や狙いを丁寧にお伝えいたします。解剖・神経・生理学的な観点から全てのエクササイズを紐解くマニュアルを準備しており、講習後も指導の手引きとしてご活用いただけます。本ページではいくつかのサンプルをご覧ください。
Mat
マットRolling Series
Rolling Series
ローリングシリーズ特徴
このエクササイズは、脊椎屈曲・胸部屈曲に関わる筋群や、呼気機能を活性するために使用する。
また、前後の回転運動により前庭覚(特に前・後半規管)を刺激したり、地面と身体後面を接地して体性感覚(特に表在感覚)を刺激することも可能。
マットの中でも特に感覚刺激量の多いエクササイズのため、初心者向けではないが、ある程度の運動経験を積んだクライアントにとっては筋機能・感覚機能の両面が改善できる有効な選択肢のひとつになる。
このエクササイズが推奨されるケース
- 腹筋群(または呼気)の機能低下
- 体幹屈曲能力の低下
- 脊柱の過伸展・脊椎周囲筋群の過緊張
- 前庭覚(特に前・後半規管)の機能低下
目的
脊椎の屈曲、腹筋群の活性、呼気機能の改善、前・後半規管への刺激、体表(身体後面)への刺激
スタートポジション
- 座位
- 股関節・膝屈曲位、両手で両膝を抱える
シークエンス
吸う:脊柱を縦方向に伸ばしエロンゲーションを意識する。
吐く:骨盤を後傾させ、背中を丸めてCカーブを作り、両足を床から浮かせて坐骨の後ろで座るようにバランスを取る。*1
吸う:肩甲骨が床につくところまで転がる。頭は床につかないように、背骨のCカーブは保つ。
吐く:*1のポジションに転がって戻る。足は床につかず浮かせたままキープする。
※数回繰り返す。
起こりやすいエラー
- 頭が床につく、足が床につく
- フラットバック、もしくは脊椎の伸展が見られる
- 起き上がれない
- スムーズに動けない
- 息を止める
注意
- 他のエクササイズに比べて動作の制御が難しく、勢いもあるため、正しく動けないクライアントにはリスクがやや高い。
- このエクササイズがうまく行えない場合は無理に続けず、他のエクササイズにて弱い機能を強化してから再度実施する。
- 脊柱を屈曲できない場合は、先に[01-41キャット-ブリージング-ホバー]や[01-23スパインストレッチ]などの後縦隔を拡張するエクササイズを行う。
参照点 | 坐骨 |
---|---|
収縮を感じる部位 | 腹部 |
分離と協同 | 胸部・脊椎・骨盤部の屈曲位での共同 |
活発する筋群 | 腹横筋・腹斜筋 |
抑制する筋群 | 広背筋、上部僧帽筋 |
呼吸(拡張側) | 後縦隔 |
Chest Opener
Chest Opener
チェストオープナー特徴
このエクササイズは、ハムストリングス・腹筋群・前鋸筋の活性、胸部上方・後縦隔を拡張するために使用する。
手を天井方向に伸ばすことで、腹筋群・前鋸筋の収縮とそれに伴う同側肋骨の内旋・同側後縦隔の拡張を促す。また、吸気時に同側の胸部が対抗されるため対側の胸部が拡張し、対側肋骨の外旋を促進できる。
「同側肋骨の内旋」と「対側肋骨の外旋」は胸部・胸椎の回旋に必要な要素であり、回旋機能を獲得することで胸郭肩甲帯や肩関節の機能的土台を構築できる。
また、背臥位のエクササイズは動きをコントロールしやすく、初心者にも活用可能である。
このエクササイズが推奨されるケース
- 腹筋群・前鋸筋の弱化
- 胸部上方・後縦隔の拡張が苦手
- 胸部の拡張不全
スタートポジション
- 背臥位
- 膝関節90°屈曲位
- 足は坐骨幅に開く
シークエンス
吸う:床を背中で押すように背面を拡張する。
吐く:両足で床を押して骨盤を後傾させる。その際にハムストリングスの収縮感があるか確認する。
吸う:両脚を左に倒し、骨盤を左に向ける。
吐く:左手を天井に向かって伸ばし、肩甲骨を床から浮かせる。
吸う:右肩関節を外旋させ、右胸郭上部を広げる。
吐く:左手を更に天井に向かって伸ばして腹筋をより強く収縮させ、左肋骨を内旋させる。
※ここで数呼吸キープしてもよい。
吸う:スタートポジションに戻す。
※反対側も同様に行い、交互に繰り返す。
起こりやすいエラー
- ハムストリングス・腹筋群・前鋸筋の感覚欠如
- 腰椎の過伸展
- 頚部の過緊張
- 肩の前突
注意
- ハムストリングスの収縮感が得られない場合、[01-07バタフライ]やマシンのサポートを使ったリフォーマーの[02-05フィートインストラップ-レッグローワ][02-42レッグスプリングス]、タワーの[03-01レッグスプリングス]などをおこなう。
- 脚を倒す際に腰椎の過伸展が見られる場合は、先に[01-06チェストリフト]や[01-23スパインストレッチ]などで肋骨の内旋と後縦隔の拡張を学習する。またマシンのサポートを使ったタワーの[03-16プッシュスルー-スパインストレッチ]やチェアの[04-01ロールダウンⅠ]などで、後縦隔の拡張を学習する。
- 肩関節を外旋する際に肩の前突が見られる場合は、[01-55マーメイド]、タワーの[03-16プッシュスルー-スパインストレッチ]、チェアの[04-15ニーリングマーメイド][04-21シーテッドマーメイド]などで胸郭肩甲帯の動的安定性を向上すると良い。
参照点 | 踵 |
---|---|
収縮を感じる部位 | 腹部、胸部、後方大腿部、肩甲骨まわり |
分離と協同 | 四肢と体幹の連動 |
活発する筋群 | 腹横筋・腹斜筋、前鋸筋、ハムストリングス、僧帽筋下部 |
抑制する筋群 | 広背筋、上部僧帽筋 |
呼吸(拡張側) | 胸部上方、後縦隔 |
Reformer
リフォーマーFeet in Strap-Leg Lowers
Feet in Strap-Leg Lowers
フィートインストラップ-レッグローワ特徴
このエクササイズは、ハムストリングス・殿筋群・腹筋群の活性、体幹のスタビリティーと股関節のモーターコントロールを向上するために使用する。
ストラップを押し下げることで収縮を促しやすいため、他のエクササイズにてハムストリングスの収縮感が薄かったり、股関節伸展機能の低下がみられるクライアントに特に推奨されるエクササイズである(ハムストリングスの収縮を強めるには、Yストラップが推奨される)。
加えて、上下の加速を強めて球形嚢に刺激を入れると外側前庭脊髄路が活性するため、股関節伸展筋群(ハムストリングスや殿筋群)の働きをより一層高めることができる。
また、スプリングの張力を活用すれば大腿前面の筋を抑制して股関節を屈曲させることができるため、股関節屈曲筋群の過緊張による股関節のつまり感や痛みの軽減が期待できる。
このエクササイズが推奨されるケース
- ハムストリングス ・殿筋群・腹筋群の感覚欠如
- 体幹のスタビリティー低下
- 体幹と股関節の分離運動不全
スタートポジション
- 背臥位
- 両脚をストラップにかけて足先を天井に向ける
- 骨盤ニュートラルポジションorインプリントポジション
シークエンス
吸う:脊柱を軸伸展(エロンゲーション)する。
吐く:肋骨を内旋させて、腹筋群の収縮を感じる。
吸う:キャレッジを背中で押すように背面を拡張する。
吐く:両脚でストラップを引っ張りながら脚を降ろす。腰が反らない範囲で動く。この時、ハムストリングスと大殿筋の収縮を感じる。
吸う:股関節を屈曲させて、スタートポジションに戻る。
※数回繰り返す
スプリング
RB〜2R
起こりやすいエラー
- 腰椎の過伸展
- 腰椎・骨盤帯の不安定
- 膝関節の伸展
- 頚部の過緊張
- ハムストリングス・大殿筋の感覚欠如
注意
- 腰部に不安定性や過緊張があり、腰の痛みや違和感がある場合は[02-46フィートインストラップ-アームリーチブリージング]で後縦隔を拡張して、腰部の緊張を抑制する。[02-46フィートインストラップ-アームリーチブリージング]でも痛みや違和感がある場合は、フィートインストラップではなく、フットバーに足をつけて、より制御しやすいエクササイズを選択する。
参照点 | 肋骨下部後面・仙骨 |
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収縮を感じる部位 | ハムストリングス、腹部 |
分離と協同 | 腰椎・骨盤部の安定、股関節の分離 |
活発する筋群 | 腹横筋・腹斜筋、ハムストリングス、内転筋群、殿筋群 |
抑制する筋群 | 広背筋、上部僧帽筋 |
呼吸(拡張側) | 後縦隔 |
Side Bend-Footwork
Side Bend-Footwork
サイドベンド-フットワーク特徴
このエクササイズは、フットバーを押す側(以下、同側)腹筋側面・股関節伸展筋群・大腿四頭筋の活性、対側胸部側面の拡張、対側肩・肩甲骨周囲筋群の活性を目的として使用する。
フットバーを踵で押すことで大殿筋とハムストリングスの収縮を促しやすいため、他のエクササイズにて大殿筋やハムストリングスの収縮感が薄かったり、股関節伸展機能の低下がみられるクライアントに特に推奨されるエクササイズである。
加えて、横方向の加速を強めて卵形嚢に刺激を入れると外側前庭脊髄路が活性するため、股関節伸展筋群(ハムストリングスや殿筋群)の働きをより一層高めることができる。
また、上肢や骨盤部のサポートを得ながら、片側性の下肢プッシュ動作を鍛えることが可能なエクササイズであるため、立位での動作制御に問題があるクライアントへのリグレッションとしても推奨される。
体幹部においては、脊椎側屈機能の促進や胸郭側面の拡張が期待できる。脊椎側屈方向への姿勢代償が見られるクライアントは、このエクササイズにより適切な姿勢を獲得できる可能性がある。
上肢においては、肩の求心位を保ちながらエクササイズをおこなうことで肩・肩甲骨周囲筋群の動的安定性を向上させられる。
このエクササイズが推奨されるケース
- ヒップハイクや脊柱側屈など、前額面上の姿勢代償
- 重心の側方変位
- 片側の下肢プッシュ機能低下
- 片側の肩・胸郭肩甲帯の動的安定性低下
スタートポジション
- 側臥位
- 左膝関節は屈曲位でフットバーに足を置く
- 右股関節・膝関節は屈曲位でキャレッジに置く
- 右前腕をヘッドレストに置く
シークエンス
右側臥位
吐く:右前腕でヘッドレストを押し、上体を引き上げ、左肋骨と骨盤を近づける。
吸う:左踵でフットバーを押し、左膝・股関節を伸ばす。
吐く:左踵をフットバーにつけたまま、左膝・股関節を屈曲させキャレッジをホームポジションに戻す。
※数回繰り返す。
スプリング
B〜RB
起こりやすいエラー
- 腰椎の過伸展
- 骨盤の不安定性
- 腹筋群・大殿筋・ハムストリングス・肩や肩甲骨周囲筋群の感覚欠如
- 脊椎の側屈不全
注意
- 腹筋群の収縮感が薄い場合は、同側の腕を足先方向に伸ばし、脊椎の側屈を促す。
- 脊椎の側屈ができず、フラットなままで上体を引き上げるケースが多いため、[02-60マーメイド]やマットの[01-37サイドベンド]など、より簡単なエクササイズにて脊椎の側屈を学習する。
- 骨盤が後ろに倒れる場合は、[02-20サイドライイング-アダクタープルバック]や背臥位で行う[02-02ペルビックティルト-ウェイトシフト]などで右股関節の内転内旋機能を強化する。
参照点 | 下肢側面、踵 |
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収縮を感じる部位 | ハムストリングス、腹部、殿部 |
分離と協同 | 腰椎・骨盤部の安定、股関節の分離 |
活発する筋群 | 腹横筋・腹斜筋の側方、ハムストリングス、殿筋群 |
抑制する筋群 | 広背筋、大腿筋膜張筋 |
呼吸(拡張側) | 右胸部側面 |
Tower
タワーTower-Long Spine
Tower-Long Spine
タワー-ロングスパイン特徴
このエクササイズは、脊柱のアーティキュレーション(分節運動)の学習、上腕三頭筋・僧帽筋下部の活性とそれに伴う肩甲帯の安定化を目的として使用される。
脊柱の分節運動により脊椎周囲の単関節筋(主にトニックマッスル)を活性することができるため、脊柱の圧迫、過緊張、アライメント不全があるクライアントには効果的なエクササイズとなる。
また、このエクササイズではプッシュスルーバーを足で押し上げることにより腰椎の屈曲や股関節の伸展が促進されるため、腰椎過伸展、股関節屈曲筋群の過緊張、股関節伸展筋群の機能低下がみられるクライアントにも推奨される。
上肢においては、腕で床を押すことで上腕三頭筋や肩甲帯周囲の筋群が活性化されるため、胸郭肩甲帯や肩の動的安定性やアライメントを整える効果も期待できる。
このエクササイズが推奨されるケース
- 背部・腰部の緊張・過伸展
- 脊柱の分節運動不全
- 胸郭肩甲帯の不安定性
- 股関節伸展筋群の機能低下
- 股関節屈曲筋群の過緊張
スタートポジション
- 仰臥位(頭部をタワーに向ける)
- 頭頂がベッドの端にくるように寝転ぶ
- 両足を坐骨幅で開き、プッシュスルーバーにつける
シークエンス
吸う:脊柱のエロンゲーションを意識し、肩関節を軽度伸展させてスプリングにテンションをかける。
吐く:両足でプッシュスルーバーを押し上げ膝関節を伸展する。
吸う:背中で床を押すように背面部を広げる。
吐く:両足でプッシュスルーバーを押し上げ、脊柱のアーティキュレーションを意識して肩甲棘あたりまで持ち上げる。
吸う:骨盤の位置を保ったまま膝関節を屈曲する。
吐く:骨盤の位置を保ったまま膝関節を伸展する。
※数回繰り返す。(難しい場合は膝関節の動きは行わない)
吐く:脊柱のアーティキュレーションを意識して上体を下ろす。
吸う:膝関節を屈曲させてスタートポジションに戻る。
スプリング
2BS
起こりやすいエラー
- 肩関節の内旋
- 脊柱の分節可動不全(アーティキュレーション)
- 腰部の痛み
- 努力性呼吸
注意
- 緊張していたり、脊柱が圧迫された状態で動いてしまう場合はこのエクササイズを中止して、[03-16プッシュスルー-スパインストレッチ]などより簡単なエクササイズを試す。
- 脊柱の分節運動が上手くできない場合は[03-05ロールダウン]や[01-04ブリッジ]などより簡単なエクササイズを試す。
- 肩が内旋したり、頚部の過緊張が見られる場合は、肩甲帯や上腕で床を押して身体を安定させる意識づけを行う。難しい場合は[01-04ブリッジ]やリフォーマーの[02-67キャット-プリングストラップ]などで上腕三頭筋や胸郭肩甲帯周囲の筋群を強化してから再度実施する。
参照点 | 肩甲帯、上腕後面、踵 |
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収縮を感じる部位 | 腹部、上腕後面、大腿部 |
分離と協同 | 肩甲帯の安定、股関節の分離 |
活発する筋群 | 腹横筋・腹斜筋、ハムストリングス、殿筋群、僧帽筋下部、上腕三頭筋 |
抑制する筋群 | 広背筋、僧帽筋上部、肩甲挙筋 |
呼吸(拡張側) | 後縦隔 |
Roll Down
Roll Down
ロールダウン特徴
このエクササイズは、脊柱のアーティキュレーション(分節運動)と腹筋群の活性化を目的として使用される。
脊柱の分節運動により脊椎周囲の単関節筋(主にトニックマッスル)を活性することができるため、脊柱の圧迫、過緊張、アライメント不全があるクライアントには効果的なエクササイズとなる。
特にこのエクササイズはスプリングのサポートがあるため、マットの[01-06ロールアップ]よりも過度な緊張を防ぎやすく、低閾値で働くトニックマッスルの働きを促進することができる。
このエクササイズが推奨されるケース
- 背部・腰部の緊張・過伸展
- 脊柱の分節運動不全
- 腹筋群の機能低下
- 腹筋群の感覚欠如
スタートポジション
- 座位(タワーの方向に座る)
- 両手でウッドバーを持つ(肩幅もしくは、ウッドバーの端を持つワイドスタンス)
- 坐骨で床を押し骨盤を立てる
- 膝関節伸展位で骨盤が倒れる場合は、骨盤を立てられるように膝関節を屈曲させる
- 両脚は揃える、もしくはタワーに足をつけるワイドスタンス
シークエンス
吸う:脊柱を軸伸展(エロンゲーション)する。
吐く:坐骨の後ろに座るように骨盤を後傾させ、脊柱のアーティキュレーションを意識して動き仰向けになる。
吸う:柱を軸伸展(エロンゲーション)する。
吐く:頭から動かしはじめ、脊柱のアーティキュレーションを意識して上体を起こし、両手を前方に伸ばす。
吸う:背中を広げる。
吐く:骨盤に背骨1つ1つ積み上げるように、脊柱のアーティキュレーションを意識してスタートポジションに戻る。
※数回繰り返す
バリエーション1 Twist ツイスト
吸う:胸郭を右回旋させる。
吐く:脊柱の右側をアーティキュレーションして仰向けになる。
吸う:脊柱のエロンゲーションと背面部を広げる意識を持つ。
吐く:脊柱の右側をアーティキュレーションして上体を起こし、胸郭の回旋を解き両手を前方に伸ばす。
吸う:背中を広げる。
吐く:骨盤に背骨1つ1つ積み上げるように、脊柱のアーティキュレーションを意識してスタートポジションに戻る。
※左右交互に数回繰り返す。
スプリング
2YL、2YS
起こりやすいエラー
- 両手を前に伸ばす際に、股関節を屈曲する
- 脊柱の分節運動ができない
- バーを引っ張る
- 起き上がる際に、脚が床から浮く
- 腰椎の過伸展
- 股関節屈筋群の過緊張
- 頚部の過緊張
注意
- 脊柱の分節運動ができない場合、マットの[01-04ブリッジ]などを試す。
- 腰椎の屈曲が難しい場合、先に[03-16プッシュスルー-スパインストレッチ]やマットの[01-41キャット-ブリージング-ホバー]などで脊柱の可動性を向上させる。
参照点 | 脊柱、踵、ハムストリングス |
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収縮を感じる部位 | ハムストリングス、腹部 |
分離と協同 | 全身の統合 |
活発する筋群 | 腹横筋・腹斜筋、ハムストリングス、大腰筋、多裂筋 |
抑制する筋群 | 広背筋、脊柱起立筋群、僧帽筋上部、肩甲挙筋 |
呼吸(拡張側) | 後縦隔 |
Chair
チェアLunge
Lunge
ランジ特徴
このエクササイズは、座面に置いた足(以降、軸脚)側に重心を移動させ、股関節内転内旋位での適切な片側下肢プッシュ動作を学習し、股関節伸展筋群(大殿筋やハムストリングス)や大腿四頭筋を活性するために使用する。
脊柱起立筋、広背筋、大腰筋、下腿三頭筋などの過活動により適切な下肢プッシュ動作ができず、歩行時に足趾の屈曲や足関節の底屈を過剰におこなうクライアントや、骨盤~股関節~膝関節~足関節~足部のアライメント不全が見られるクライアントには特に推奨される。
また、片側性のバランス(+重心制御)機能も向上できるため、筋力・アライメント、バランス全てを向上できる有効な下肢エクササイズである。
大殿筋、ハムストリングス、内転筋群の筋力が低下しているクライアントには、スプリングを重めに設定してサポートする。上記の筋群の収縮感が低下している場合は、スプリングを軽めに設定して負荷を増やす。
このエクササイズが推奨されるケース
- 下肢アライメント不全
- 片側性のバランス不全
- 大殿筋・ハムストリングス・内転筋群の感覚欠如
- 下肢プッシュ機能不全
スタートポジション
- 立位
- チェアの前に立つ
- チェアの上に片足を置き、もう一方はMP関節をペダルに乗せる
- 骨盤の高さを床と平行に保つ
- ペダルに乗せた脚の踵から頭頂までを一直線上に保つ
シークエンス
両手をハンドルに添え、両足でペダルを押し下げ、片足をチェア座面に乗せる。
吸う:脊柱を軸伸展(エロンゲーション)する軸脚で床を押し、骨盤を安定させる。
吐く:チェア座面に乗せた踵でチェアを押して上体を引き上げる。軸脚内転筋群と殿筋群の収縮を感じる。
吸う:ペダルが床につかない範囲で降りる。
※数回繰り返したのち、反対側も同様に行う。
スプリング
2H2〜2H4
起こりやすいエラー
- 腰椎の過伸展
- 骨盤の不安定
- つま先重心
- 足趾の屈曲
- 下腿三頭筋の過緊張
- 下肢アライメント不全(特にKnee-in)
注意
- ペダルに脚を乗せた側のヒップハイクが起きやすいので注意する。
- つま先重心になると、足底筋膜や下腿三頭筋の緊張が高まり適切なプッシュができなくなるため、踵に体重を乗せるよう心掛ける。
- 大腿部の緊張が強い場合は、タワーの[03-21ニーリングサイストレッチ]などで大腿四頭筋(特に大腿直筋)を抑制してから再度実施する。
- Knee-inする場合は、マットの[01-61ベンドニーサイドライイング-アダクタープルバック]やリフォーマーの[02-46フィートインストラップ-アームリーチブリージング]などで股関節の適切な内転内旋を学習させる。
参照点 | 踵 |
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収縮を感じる部位 | 腹部、大腿内側、殿部 |
分離と協同 | 股関節の分離 |
活発する筋群 | 腹横筋・腹斜筋、内転筋群、ハムストリングス、殿筋群 |
抑制する筋群 | 広背筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋 |
呼吸(拡張側) | 胸郭、腹部全体 |
Pike Up
Pike Up
パイクアップ特徴
このエクササイズは、脊椎屈曲・胸部屈曲に関わる筋群や呼気機能の活性、後縦隔の拡張、肩関節・胸郭肩甲帯の動的安定性を向上するために使用する。
ペダルのサポートはあるが、身体を腕で支える筋力や重心を手の間に移動させる身体制御能力が必要となるため、中上級者向けである。
掌底を参照点とすることで腹筋群の収縮感が得やすくなるため、腹筋群の収縮を感じられないクライアントに推奨される。
このエクササイズは、マットの[01-41キャット-ブリージング-ホバー]など類似した体幹屈曲系エクササイズよりも動作の成否がはっきりとしており、身体機能が向上したかの指標となり得るため肩甲胸郭帯の動的安定性と体幹屈曲機能の評価としても有用である。
このエクササイズが推奨されるケース
- 腹筋群(または呼気)の機能低下
- 体幹屈曲能力の低下
- 脊柱の過伸展・脊椎周囲筋群の過緊張
- 肩甲胸郭帯の不安定性
- 前庭覚(特に前・後半規管)の機能低下
スタートポジション
- 立位
- チェアの前に立つ
- 両足MP関節をペダルに乗せ、足幅は坐骨幅にひらく
- 両手はチェアの側面に置く
シークエンス
両手をチェアのエッジに添え、両足でペダルを押し下げて乗る。
吸う:脊柱を軸伸展(エロンゲーション)する。軸脚で床を押し、骨盤を安定させる。
吐く:両手でチェアを押して脊柱を最大限に屈曲させ、背中を天井に向かって引き上げる。
吸う:背面部を広げる。
吐く:体を引き上げてペダルを浮かせる。
吸う:脊柱の屈曲を保ち、ペダルを床につかない程度に降ろす。
※数回繰り返す。
バリエーション1 Oblique オブリーク
ペダルに乗せた両足先を右側に向け、左手はチェアの奥側に、右手は手前の端に添える。
吸う:脊柱を軸伸展(エロンゲーション)する。軸脚で床を押し、骨盤を安定させる。
吐く:両手でチェアを押して脊柱を最大限に屈曲させ、背中を天井に向かって引き上げる。
吸う:背面部を広げる。
吐く:体を引き上げてペダルを浮かせる。
吸う:脊柱の屈曲を保ち、ペダルを床につかない程度に降ろす。
※数回繰り返したのち、反対側も同様に行う。
スプリング
2L4〜2H4
起こりやすいエラー
- 肩の挙上
- 肩甲帯の不安定性
- 脊柱の屈曲不全、フラットバック
- 腰椎の過伸展
- 翼状肩甲
注意
- 肩甲帯の不安定性がみられる場合は、チェアの[04-01ロールダウンⅠ]や[04-27スキャプラモビリゼーション]などで肩甲帯の動的安定性を強化してから再度実施する。
- 脊柱の屈曲ができない場合は[04-01ロールダウンⅠ]やタワーの[03-16プッシュスルー-スパインストレッチ]などで脊柱の分節運動をおこない、脊椎周囲筋群の過緊張を軽減する。
- 腹筋群の収縮が感じられない場合は、[04-25チェストリフト][04-26AZクリスクロス]など収縮感を得やすいエクササイズを先におこなう。
参照点 | 掌 |
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収縮を感じる部位 | 腹部、大腿内側 |
分離と協同 | 全身の統合 |
活発する筋群 | 腹横筋・腹斜筋、内転筋群、前鋸筋、上腕三頭筋、僧帽筋下部 |
抑制する筋群 | 広背筋 |
呼吸(拡張側) | 後縦隔 |
Ladder Barrel
ラダーバレルStanding Roll Back
Standing Roll Back
スタンディングロールバック特徴
このエクササイズは、腹筋群・股関節屈曲筋群における伸張性収縮の制御と脊柱のアーティキュレーション(分節運動)を学習する目的で使用する。
バレルのアーチにより、マットの[01-19スワン]と比べ脊柱の伸展動作が容易になる利点がある。
脊柱伸展の機能的可動域が低下している、または腹筋群の伸張性収縮を制御できず脊柱を過度に圧迫してしまうクライアントに推奨される。
適用、またはこのエクササイズが推奨されるケース
- 機能的な脊柱伸展可動域の低下
- 腹筋群の過緊張/伸張性収縮の制御不全
- 股関節屈曲筋群の過緊張/伸張性収縮の制御不全
シークエンス
立位(ロングボックスの上に立つ)、骨盤をバレルにつける(股関節・膝関節屈曲位)/両足を坐骨幅に開く/両手は肩関節屈曲90°で前方に伸ばす
吸う:脊柱を軸伸展(エロンゲーション)する。
吐く:坐骨の後ろに座るように骨盤を後傾、腰椎から脊柱のアーティキュレーションを意識して脊柱をバレルのアーチに添わせ仰向けになる。胸部がバレルにつく際、同時に肩関節を屈曲し、両手を頭上に伸ばしラダーをつかむ。
※脚を広げてボックスから足を外し、ラダーにぶら下がる。
※数呼吸繰り返し、腹筋群・股関節全面をストレッチしたのち、足をボックスに戻す。
吸う:胸郭上部を拡張する。
吐く:両手を天井方向に向かって円を描くように動かしながら頷くように頭を持ち上げ、頚椎から脊柱のアーティキュレーションを意識して上体を起こし、スタートポジションに戻る。
※数回繰り返す。
起こりやすいエラー
- 腰痛・頚部痛
- 腰椎の過伸展
- 頚部の過緊張
- 背筋群の過緊張
- 股関節屈曲筋群の過緊張
注意
- 伸展時に腰痛を伴うクライアントには実施しない。
- 腰部が過緊張している場合は[04-04ショートボックス-アブドミナルシリーズ][01-23スパインストレッチ][03-16プッシュスルー-スパインストレッチ]などで腰部の屈曲を促し、緊張を抑制してからこのエクササイズを実施する。
- 股関節屈曲筋群が過緊張している場合は、ラダーにぶら下がる際に腰椎の過伸展が助長される可能性があるため注意する。腰椎の過伸展や腰部の痛みがある場合には、ボックスに両足を置いたままエクササイズをおこなう。
- 胸椎の伸展可動域が十分でない場合、代償として頚部の前突が見られることが多い。頚部の前突や頚部の痛みがある場合には、頭の後ろに枕やクッションを置くか、トレーナーが頭を支えて頚部の伸展可動域を制限する。
参照点 | 仙骨(脊柱),足底,掌 |
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伸長を感じる部位 | 体幹前面,大腿前面,脇腹 |
分離と協同 | 腹筋群と背筋群の共同 |
活性する筋群 | 腹横筋・腹斜筋,多裂筋,ハムストリングス,僧帽筋下部 |
抑制する筋群 | 腹直筋,僧帽筋上部,股関節屈曲筋群 |
呼吸(拡張側) | 腹部・胸郭全体 |
Lay Back Leg Series
Lay Back Leg Series
レイバックレッグシリーズ特徴
このエクササイズは、脊柱伸展位における腹筋群の遠心性収縮制御や、股関節の分離運動の向上を目的として使用する。
ラダーバレルのアーチにより脊柱伸展位が保持しやすい利点がある。[05-01スタンディングロールバック]の応用エクササイズであり、中-上級者に推奨される。
両手でラダーを押すことで姿勢を保持しやすくなると共に、僧帽筋上部の抑制や前鋸筋の活性による胸郭肩甲帯の動的安定性が促進される。
適用、またはこのエクササイズが推奨されるケース
- [05-01スタンディングロールバック]が問題なく実施できる
- 腹筋群の伸張性収縮制御機能低下
- 股関節の分離運動不全
- 胸郭・肩甲帯の不安定性
シークエンス
立位(ショートボックスの上に立つ)、坐骨をバレルにつける(股関節・膝関節屈曲位)/両足を坐骨幅に開く/両手は肩関節屈曲90°で前方に伸ばす
吸う:脊柱を軸伸展(エロンゲーション)する。
吐く:坐骨の後ろに座るように骨盤を後傾、腰椎から脊柱のアーティキュレーションを意識して脊柱をバレルのアーチに添わせ仰向けになる。胸部がバレルにつく際、同時に肩関節を屈曲しはじめ、両手を頭上に伸ばしラダーに掌底をつける。
※両手でラダーを押し、肩甲帯をバレルにしっかりと押し付けて安定させる。
※両足をショートボックスから離し、天井方向に伸ばす。
バリエーション1 – Scissors シザーズ
吐く:両脚を前後に開く。
吸う:背面を広げる。
吐く:脚を入れ替える。
※数回繰り返す。
バリエーション2 – Bicycle バイシクル
自然に呼吸を繰り返しながら、自転車を漕ぐように脚を交互に動かす。
※数回繰り返す。
※Scissorsが問題なくおこなえる場合にBicycleをおこなう。
バリエーション3 – Circle サークル
両脚をそろえたまま天井方向に伸ばす。
吐く:両脚で円を描くように回して動かしながら、股関節を伸展する。
吸う:股関節を屈曲してスタートポジションに戻る。
※数回繰り返す。
※反対回しをする際は、吐きながら脚をそろえて股関節を伸展し、吸いながら脚で円を描くように回して股関節を屈曲してスタートポジションに戻る。
バリエーション4 – Helicopter ヘリコプター
片脚の股関節を屈曲して天井方向に、反対側は股関節を伸展して尾方に伸ばす。
自然に呼吸を繰り返しながら、両脚で円を描くように回して動かして脚を入れ替える。
※数回繰り返す。
※エクササイズが終了したら、両足をショートボックスにつける。
吸う:胸郭上部を拡張する。
吐く:両手を頭の後ろに添え、頚椎から脊柱のアーティキュレーションを意識して上体を起こし、スタートポジションに戻る。
起こりやすいエラー
- 腰椎の過伸展
- 胸椎の伸展不全
- 頚部の過緊張
- 股関節屈曲筋群の過緊張
注意
- 両手でラダーをしっかりと押せないと落下の危険がある。
- [05-01スタンディングロールバック]ができない場合や、腰背部に過緊張や痛みがある場合は実施しない。
- 股関節伸展を腰椎で代償する場合は前もって[01-04ブリッジ][03-04サイストレッチ-スーパイン]などで股関節伸展動作を学習する。
- 腰椎・骨盤帯が適切なポジションで制御できる範囲で股関節動作をおこなう。股関節の動作を腰椎で代償する場合は、可動域を制限する。可動域を制限しても変わらない場合は[05-10レッグストレッチシリーズ][02-05フィートインストラップ-レッグローワ][03-01レッグスプリングス]などで、前もって股関節の分離動作を学習し、可動域を広げてから実施する。
参照 | 掌,肩甲帯,脊柱,骨盤 |
---|---|
収縮を感じる部位 | 腹部,殿部,大腿裏側,肩甲帯 |
分離と協同 | 腰椎・骨盤部の安定,股関節の分離,腹筋群と背筋群の協同 |
活性する筋群 | 腹横筋・腹斜筋,前鋸筋,僧帽筋下部,上腕三頭筋,ハムストリングス,殿筋群 |
抑制する筋群 | 広背筋,腹直筋,僧帽筋上部,上腕二頭筋,大腿筋膜張筋 |
呼吸(拡張側) | 胸部上方 |
Spine Correcter
スパインコレクターReach
Reach
リーチ特徴
このエクササイズは、矢状面における脊柱のアーティキュレーション(分節運動)の学習を目的として使用する。
アークにより大きな可動域で脊柱の屈曲と伸展を交互に行うことが可能となる利点がある。また、両足で床を押すことで腹筋群とハムストリングスが促通され、脊柱伸展時の過度な骨盤前傾や腰椎前弯を防ぐことができる。
低負荷かつ大きな可動域での分節運動により脊椎周囲のトニックマッスルが鍛えられるため、脊柱のアラインメント不全や過緊張に伴う圧迫ストレスに悩むクライアントには効果的なエクササイズとなる。
また、脊柱の運動制御機能を改善することで、身体中心座標の確立や脊柱と肋骨の適切な強調運動の獲得が期待できる。
適用、またはこのエクササイズが推奨されるケース
- 脊柱や肋骨の機能的可動域低下
- 腹筋群の過緊張
- 股関節屈曲筋群の過緊張
シークエンス
座位(クレパスに座る)/股関節・膝関節屈曲位/両足を坐骨幅に開く・もしくは両脚を閉じる/両手は肩関節屈曲90°で前方に伸ばす
吸う:脊柱を軸伸展(エロンゲーション)する。
吐く:坐骨の後ろに座るように骨盤を後傾、腰椎から脊柱のアーティキュレーションを意識して脊柱をアークに添わせ、同時に股関節・膝関節を伸展して伸ばす。ハンドレッドポジション(股関節・膝関節伸展位・胸椎屈曲位)を経由して胸部・頭部もアークにつけ、両手は頭上に伸ばし床につける。
※ここで数呼吸繰り返してもよい。
吸う:胸郭上部を拡張する。
吐く:両手で円を描くように回し天井方向に向かって伸ばすと同時に、頷くように頭を持ち上げ、頚椎から脊柱のアーティキュレーションを意識して上体を起こし、股関節・膝関節を屈曲しスタートポジションに戻る。
※数回繰り返す。
起こりやすいエラー
- 腰痛・頚部痛
- 頚部前突
- 頚部の過緊張
- めまい
- 頚部の屈曲不全
- 腰椎の過伸展
- 背筋群の過緊張
- 股関節屈曲筋群の過緊張
注意
- 腰痛や腰部の不安定性がある場合は、胸椎を屈曲したハンドレッドポジションまでに動作を制限する。
- 股関節屈曲筋群が過緊張している場合は、両踵で床を押す意識を強めハムストリングスを活性して股関節伸展を促す。
- 胸椎の伸展可動域が十分でない場合は、代償として頚部の前突が見られることが多い。頚部の前突や頚部の痛みがある場合には、頭の後ろに枕やクッションを置くか、トレーナーが頭を支えて頚部の伸展可動域を制限する。
- 脊柱伸展位から起き上がる際の頚椎屈曲が難しい場合はトレーナーが頭を支えて動作を補助する。
参照点 | 仙骨(脊柱),踵 |
---|---|
収縮を感じる部位 | 腹部,大腿裏側,肩甲帯 |
分離と協同 | 腹筋群と背筋群の共同 |
活性する筋群 | 腹横筋・腹斜筋,多裂筋,ハムストリングス,前鋸筋,僧帽筋下部 |
抑制する筋群 | 腹直筋広背筋,僧帽筋上部,股関節屈曲筋群 |
呼吸(拡張側) | 胸部上方,後縦隔 |
Leg Series
Leg Series
レッグシリーズ特徴
このエクササイズは、腹筋群や股関節屈曲筋群における伸張性収縮機能や、股関節の分離運動を向上する目的で使用する。
アークのサポートがあることで、マットの[01-65シザース]と比べ、より大きな可動域で下肢を屈曲・伸展できる利点がある。また、アークで骨盤部を支えることで股関節伸展時における腰椎の代償が防ぎやすい利点もある。
適応、またはこのエクササイズが推奨されるケース
- 腹筋群の弱化
- 股関節の分離運動不全
- 胸郭・肩甲帯の不安定性
シークエンス
座位(クレパスに座る)/股関節・膝関節屈曲位/両足を坐骨幅に開く・もしくは両脚を閉じる
両手でアークを押して骨盤を持ち上げ、両足をリップにのせる。脊柱をアークに沿わせて仰向けになり、頭方に移動しながら肩甲帯を床につける。アーク上で仙骨が安定する位置に寝る。
両足をクレパスから離し、天井方向に伸ばす。
バリエーション1 – Scissors シザーズ
吐く:両脚を前後に開く。
吸う:背面を広げる。
吐く:脚を入れ替える。
※数回繰り返す。
バリエーション2 – Bicycle バイシクル
自然に呼吸を繰り返しながら、自転車を漕ぐように脚を交互に動かす。
※数回繰り返す。
※Scissorsが問題なくおこなえる場合にBicycleをおこなう。
バリエーション3 – Circle サークル
両脚をそろえたまま天井方向に伸ばす。
吐く:両脚で円を描くように回して動かしながら、股関節を伸展する。
吸う:股関節を屈曲してスタートポジションに戻る。
※数回繰り返す。
※反対回しをする際は、吐きながら脚をそろえて股関節を伸展し、吸いながら脚で円を描くように回して股関節を屈曲してスタートポジションに戻る。
バリエーション4 – Helicopter ヘリコプター
片脚の股関節を屈曲して天井方向に、反対側は股関節を伸展して尾方に伸ばす。
自然に呼吸を繰り返しながら、両脚で円を描くように回して動かして脚を入れ替える。
※数回繰り返す。
バリエーション5 – Frog フロッグ
両足踵をつけてつま先を開き、膝関節90°屈曲、股関節外転外旋位(フロッグレッグポジション)
吸う:背中で床を押すように背面を拡張する。
吐く:斜め45°方向に両足でストラップを押して膝関節・膝関節を伸展し、両脚をそろえる。
吸う:両踵はつけたまま、股関節・膝関節を屈曲しフロッグレッグポジションに戻る。
※数回繰り返す。
※エクササイズが終了したら、両足をアークにつける。両手でスパインコレクターを押して動かし、骨盤を床につけて降りる。
起こりやすいエラー
- 腰椎の過伸展
- 胸椎の屈曲不全
- 頚部の過緊張
- 腹筋群の収縮感欠如
- 股関節屈曲筋群の過緊張
注意
- 腰背部に過緊張や腰痛がある場合はこのエクササイズを実施しない。
- 胸椎の屈曲可動域が低下している場合は頚部に過度な負担がかかりやすいため注意をしてインストラクションをする。また胸椎の屈曲を向上するために前もって[06-02リーチ][06-03レッグプル][01-06チェストリフト][03-05ロールダウン][04-25チェストリフト]などを実施する。
- 股関節伸展時に腰椎が代償する場合は前もって[06-05ブリッジ][06-10トライセプスプレス][01-04ブリッジ][03-21ニーリングサイストレッチ]などで股関節伸展動作を学習する。
参照点 | 上腕,掌,仙骨 |
---|---|
収縮を感じる部位 | 腹部,殿部,大腿裏側 |
分離と協同 | 腰椎・骨盤部の安定,股関節の分離 |
活性する筋群 | 腹横筋・腹斜筋,僧帽筋下部,上腕三頭筋,前鋸筋,ハムストリングス,殿筋群 |
抑制する筋群 | 広背筋,腹直筋,僧帽筋上部,上腕二頭筋,大腿筋膜張筋 |
呼吸(拡張側) | 後縦隔 |
Manual Approach
マニュアルアプローチPsoas Major
Psoas Major
大腰筋大腰筋の起始
第12胸椎~第4腰椎椎体側面
大腰筋の停止
大腿骨小転子
大腰筋のランドマーク
内側部:臍と鼠径部の真ん中1/2を結んだライン
外側部:剣状突起と鼠径部の真ん中 1/2を結んだライン
筋の特徴
股関節の屈曲・外旋に作用するが、腰部にとっては屈筋でも伸筋でもなく、強力な体幹安定機構として働く。大腰筋の機能が低下すると、股関節伸展・内旋の可動域制限や股関節屈曲時の脊柱屈曲代償が生じる可能性がある。
手技の特徴
非器質的な要因による股関節の制限を改善する目的で使用する。大腰筋に伸長刺激を加えることで、滑走性の向上が期待できる。
この手技が推奨されるケース
- 自動運動時の股関節痛
- 股関節前方のつまり
- 股関節前面の過緊張
- 股関節伸展の可動域制限
手順
- クライアントは背臥位※この時、対側の股関節は屈曲位におく
- 大腰筋を触知する
- 大腰筋に軽い押圧刺激を加える
- 3を持続しながら、大腰筋に伸張刺激を加える
※介入肢を治療台から出すことで股関節伸展位へ誘導しやすい
注意点
- 大腰筋に伸張刺激を加える際に疼痛が生じた場合は、動作範囲や押圧刺激を調整する
- 大腰筋の走行を意識しながら伸張刺激を加えると効果的なアプローチが可能
推奨エクササイズ
他のコースを受講される方は、以下のエクササイズをあわせて提供することを推奨します。
Mat
01_デッドバグ
02_フィーマーアークス
Reformer
04_フットワーク
Tower
01_レッグスプリングス
08_ハムストリングストレッチ
14_ヒップオープナー
Chair
04_スタンディングレッグパンプス
09_ランジ
18_シッティングレッグパンプス
23_レッグパンプススーパイン
Obturatorius Externus
Obturatorius Externus
外閉鎖筋外閉鎖筋の起始
閉鎖膜外側
外閉鎖筋の停止
外閉鎖筋の停止
外閉鎖筋の停止
閉鎖孔
筋の特徴
股関節の外旋に作用する筋である。外閉鎖筋の起始は閉鎖孔内側縁と閉鎖膜であるが、そこには閉鎖神経も走行している。
その為、外閉鎖筋の筋緊張が亢進すると股関節内旋可動域の制限が生じることに加え、閉鎖神経が圧迫されることによる膝から大腿前内側にかけての感覚障害や股関節内転筋群の機能不全といった神経障害が生じる可能性がある。
また、筋が大腿骨の転子窩に停止する為、股関節屈曲運動時の骨頭の後方滑りが阻害され、股関節屈曲可動域の制限に繋がりやすい。
手技の特徴
非器質的な要因による股関節の制限を改善する目的で使用する。外閉鎖筋に対し反回抑制を用いることで、筋緊張の抑制が期待できる。
この手技が推奨されるケース
- 外閉鎖筋の筋緊張亢進
- 股関節前方のつまり
- 股関節屈曲、内旋の可動域制限
- 閉鎖神経障害(大腿内側の感覚障害や股関節内転筋機能不全)
手順
- クライアントは背臥位にて股関節軽度屈曲、外旋位
※この時、介入者はクライアントの下腿下に足を入れておく
- 外閉鎖筋を触知し、圧痛があるかを確認する
(恥骨結節を触れた指を末梢方向へ移動させ、閉鎖孔を確認する)
- 大腿部を把持し、他動的に股関節の内外旋運動を実施する
- クライアントが運動方向を理解し次第、自動運動を実施してもらう
- 介入前後で、可動域と圧痛に対する効果判定をする
注意点
手順3を実施する際は、頸部軸を意識する
推奨エクササイズ
他のコースを受講される方は、以下のエクササイズをあわせて提供することを推奨します。
Mat
07_バタフライ
32_ベンドニーサイドライイング-クラム
42_キャットテイル
60_ベンドニーサイドライイング-アダクタープルバック
62_ベンドニーサイドリフト-クラム
Reformer
02_ペルビックティルト-ウェイトシフト
12_サイインストラップ-バタフライ
14_クラム-ニートゥーニー
Tower
01_レッグスプリングス-フロッグ
Chair
24_フロッグスーパイン
35_フロッグ-フロント
36_フロッグ-バック
オンライン講義の詳細とサンプルをご覧いただけます。